さまざまな調査で、「1日のうちでどんな時、あなたは最も充実感を感じますか」という質問に、いつも第1位を占めるのが「家族の団欒」という答えです。かつて上位を占めていた「仕事の充実感」は、50代の団塊の世代以上に見られる程度。バブルが崩れて土鍋が売れると、父親の家庭回帰現象だとか、家族の団団欒の時間が増えるなどと論評される。それほど単純なことではないと思うのですが、家族揃っての楽しいひとときが、日本人にとっていかにかけがえのない時間かを物語っているということでしょう。従って、住まいの設計においても、リビングルームに対してつけられる注文は多いですし、思い入れも深い。しかしその思い入れを細かくチェックしていくと、実体の曖昧さが浮き上がってきます。自分の家族が今まで暮らしてきた生活の延長線上にある使い方というよりは、こうありたいという願望のイメージが勝っている場合が多い。テレビやハウスメーカーのパンフレットで見たに過ぎない家族団欒の断面風景が、自分ちもこうあるべきだという団欒風景と重なっている場合が多く、家を建てた後、本当にそんな光景が実現するという確信があるわけではなく、イメージだけが1人歩きしているのです。その結果、新しい暮らしを始めたとたん、こんなはずではなかった、と後悔する人が多い。
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